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救急救命士

救急救命士科の紹介

  • 病院前救護から「地域と病院をつなぐ存在」へ

救急救命士は従来、消防機関を中心に「病院前救護」を担ってきました。しかし2021年の法改正や診療報酬改定を背景に、院内での救急外来業務や医療機関保有の救急車運用など、活躍の場は病院内へも大きく広がっています。
これにより私たちの役割は、病院前救護にとどまらず「地域と病院をつなぐ存在」へと進化を遂げつつあります。
こうした流れを受け、2026年4月、当院にも「救急救命士科」が誕生しました。「病院救命士の真の役割とは何か」を追求しながら、日々の実践を通じて新たな価値を創出しています。

概要

  • ER(救急外来)におけるタスクシフトと3つのフィールド

現在、当院の救急外来(ER)では、医師、看護師、そして救急救命士がチームを組み、多職種連携のもとで初期診療にあたっています。救急救命士が病院組織の中で確かな価値を発揮するためには、まずER業務の確実な一翼を担い、医師や看護師の業務負担を軽減するタスクシフトを推進することが不可欠です。ERにおける業務の流れは、大きく3つのフィールドに分けることができます。

第1フィールド:受入準備・情報連携(受入前〜到着)
救急隊の要請情報から病態を予測し、初療ベッドの選定や医療機器・資機材を事前準備して診療体制を整えます。

第2フィールド:初期評価・緊急処置(搬入〜ファーストタッチ)
搬入直後にABCDEアプローチで全身状態を迅速評価し、医師・看護師と連携して観察・処置を淀みなく開始します。

第3フィールド:診療補助・出口調整(検査〜転帰決定)
各種検査・処置へのシームレスな移行や病棟移送、入院・帰宅・転院といったアウトフローの円滑な進行を担います。

救急救命士は初期救急対応から検査・移送補助まで、現場の即戦力として多岐にわたるタスクをカバーします。
当院では、厚生労働省の通知に基づき、日本臨床救急医学会および日本救急医学会が策定したガイドラインに準拠して院内制度を整備しました。医療行為の質と安全性を担保するための実施基準(プロトコール)を作成するとともに、ER看護師チームとの業務分担に関する申し合わせ事項を文書化しました。4月からの新入職看護職員のトレーニング時期と歩調を合わせ、入念な準備とシミュレーションを重ねた結果、同年6月19日より、静脈路確保をはじめとする所定の医療処置も安全に実施可能となっています。

  • 病院救急車の運用がもたらす「確かな安心」

救急救命士の役割はER内にとどまりません。当院が保有する救急車を活用した「自院救急の受け入れ」および「他病院への病院間搬送」も極めて重要な使命です。現在は人員・資材面での制約などもありつつ、運用の幅を広げている段階ですが、自院救急活動自体は消防の救急活動と共通する基盤が多く、これまでのノウハウを活かすことが出来ています。
病院運用における最大の強みは、「搬送先医療機関や治療方針が事前に確立した状態で搬送できること」にあります。搬送する患者さんの中には、重篤な状態の方や急変リスクの高い方も少なくありません。しかし、ERの医師とオンラインで直結し、常に指導助言を受けられるバックボーンがあることで、高水準の医療管理を維持しながら搬送することが可能となっています。
私個人として、この搬送業務が「救急救命士が社会や病院に直接貢献している」と強く実感できる分野です。私は長年、消防機関での救急業務に携わってまいりましたが、当院で患者さんやご家族、関係機関の方々と接する中で、毎回のように深い感謝の言葉をいただくことに驚かされました。消防時代には経験しなかったほど、ダイレクトに「ありがとうございます」と温かいお声をかけていただけるのです。
この違いは、当院が長年築いてきた地域からの深い信頼と、確定した医療・サービスが提供されている安心感に起因していると考えます。「八尾徳洲会の医療の傘」の下で治療が継続しているという実感が、不安を抱える患者さんやご家族の大きな心の支えになっているのです。

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